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タイトル :ループという魔力。
配信日時 :2023/06/14(水) 06:00

本文:

『価値あるものと見なされるこの世の全ての楽しみと比べてみても魚とり
これに勝るものはなし』

『説教する人、物書く人、専制する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、
いずれにしても最後の勝利者これ魚とり』
By トーマス・ダーフィー 「釣り人の歌」
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大井です。


前回は、

何故、あなたはFFを選んだのでしょうか?


という問いを考えてみました。


数ある趣味の中から、

数ある釣りの中から、

何故フライフィッシングなのか?



それは、やはりキャスティングであると私は思います。

具体的領域においては。



でもしかし、

何故フライキャスティングはこうも我々を魅了するのか?

不思議であり、探求しがいのある疑問ですよね。



なぜ、フライフィッシングなのか?

なぜ、フライキャスティングなのか?




■ループという魔力


「ループ」


フライキャスティングに置けるループ。


この形状は、なかなか魅力的です。

他にはない「美魔力」があります。


流線形のあのループ。



とろけるような柔らかいタッチで、

木漏れ日の中に絵を描くかのように。


音もなく前後に伸びるループ。



今回は、

ループについて語ってみましょう。



〜〜〜

それにしても、

あの曲線は我々を虜にする。


考えれば、

あのような曲線は世界でありそうでない。



流線形の構造物や造作物はあるだろうが、

その形は静止している。



流動し激しく変化しながら流線を描く。

こんな運動は、

どこを探してもない。



一つの生き物としてループは存在する。

あの曲線には、生命が宿っている。

しかも、何かしらの強い意志がそこになければならない。



連続性としてのループ。

美しい楕円を形作り、そして解けて終わりそうになりながら、

しかし、またしなやかに始まり曲線を空に描く。



まるで、赤ん坊をあやすかのような柔らかさで。

そうしないと、ループのエネルギーは混沌化し無残に乱れまくる。



あの優しさは何なのだろう。

癒してあやして、

曲線は作られて解けていく。




世の中には、

坐禅を組んだり瞑想したり、

何か、精神のざわめきを飼い慣らす手法がいくつもある。



だが、静止した運動は、静止する為の負荷がかかり続ける。

実際、静止にはエネルギーがいる。

動かない苦痛は、氾濫する情報に揺り動かされる。


なかなか難しい所作だ。




ところが、

軽快な心地よい運動であれば、

その心地良さがゆえに、連続性を保てる。


動いている安心がある。




それこそが、

フライキャスティングの魔力に他ならないのではないだろうか。



フライキャスティングの運動と形状は、

音楽や芸術や学問や政治や資本を超えている。



錯覚だとしても、そう思わさせるに値する何かがある。



フライキャスティングでなければ、

表現できない「たゆたうもの」がそこに出現する。



たゆたい、あやし、まどろむ。

折れないしなやかな精神を見る。



こういう手法こそ、

最強のライフクリエイトなのではないかと、

確信近くそう思う。




時折、

女性フライフィッシャーを見かけることがある。


フライキャスティングは、

女性ともの凄く相性がいいと思う。


女性の柔らかさとループの柔らかさは、

互いにその柔らかさを増していく。



男には、表現できない曲線美。

包み込み、

許してくれる包容がある。



そうか、

フライキャスティングは、母性なのかも知れない。



だから、

男たちは、フライキャスティングを繰り返す度に、

安堵し安心し安らかになれるんだ。



ガサツで要領は最悪で、

いつも何かに追い立てられ、

偽善と正義の区別も、もはや付かない。


欲に飲み込まれた自分がほとほとに情けなく、

言い訳だけが夜明けを襲う。




あの形状は、

フライキャスティングでなければ生み出せない。


天才画家が、

キャンパスに描いても、静止したまま動かない。



造形物として近いものはたくさんある。

新幹線の顔はループに近い。

指先もループのような曲線である。

ロケットの頭も流線型だし、

車のフォルムもそうだ。



だが、

フライキャスティングが生み出す、

あのループが我々に与える根源的なエネルギーは、

誠にただならない。



例えば、

100人が一斉に並んでダブルホールキャストをし始めたら、

それはもう、一大スペクタルである。


映画のヒットも間違いない。


何故なら、

ああいう運動は他にないし、

そのしなやかさと強さは、唯一無二であり圧倒的、

革命的だからである。



リバランどころの騒ぎではない。



ピカソもゴッホも、

岡本太郎も棟方志功も、ひれ伏す。

・・・かも知れない。


土俵が違うけど。



瞬間の芸術、幻術。



まあ、なんというか、

この世界で、一番に魔力のある曲線であることは間違いない。




私は本気でそう思う。





以上。









■前回記事


大井です。



フライフィッシングと他の釣りの違いは何なのでしょうか。


しかも、決定的な違いとは?

考えたことありますか?


・・・。



そうです、フライキャスティングですよね。



然るに、

フライキャスティングがあるからこそ、

あなたはフライフィッシングを選んだのです。




魚を釣ること、そのものが好きなら、

フライでなくてもルアーや餌釣りやテンカラでも、

何でもいいと思いますが、



やはり、フライフィッシングを選んでいることには、

何かしらの意味がそこにありますよね。




それが、つまりは、

フライキャスティングであると。



フライキャスティングは、

圧倒的に他の釣りとの差別化を生んでいます。




分かり切った自明のことであり、

今更な事なのですが、


改めて、今回はフライキャスティングについて

考えてみたいと思います。





私が、初めてフライフィッシングを知ったのは、

TVの番組でした。



腕をせわしなく動かしながら、竿を前後に振るその動作が、

今まで見たことのない動きであって、不思議な釣りがあるんだな~、

というのが最初の感想でした。




その後、北浦でルアーでバスを釣っていた時、

同じ動作をする釣り人を発見して、実際この目で見て、

ただならぬ好奇心に駆り立てられたのを覚えています。



「何で、あんな動きになるの?」

「何をどうやってるの?」

「そんな忙しい感じで、魚は釣れるんかな?」


と。




それは、ダブルホールだったのですが、

見ていて何とも心地い。



釣り人のせわしない動きとは裏腹に、

オレンジ色の糸は、優雅に空を舞っていました。


美しい釣りがあるもんだな・・。




そんな感じで、

私は急速にフライフィッシングにのめり込んで行きました。

フライキャスティングの魅力の虜になったのです。






■腱鞘炎になるまで、ロッドを振り付ける。



2006年に、

ポルトガルで開催されたチャンピオンシップに行った時のこと。



湖のセクションで、

フルラインキャストで攻めなければ魚が出ない状況があり、

ひたすらブンブンブンブンロッドを振り回し

パワーキャスティングに徹しました。




なのですが、

その時、右の腕はジンジンメリメリと音を立てるほど

筋肉疲労を起こしていて、

ロッドを振るたびに重い鈍痛が私を襲ったのです。



それは、

痛くてしゃがみ込みたくなるほど。



大会に合わせたキャスティング練習のオーバーワークで、

ほぼ腱鞘炎だったのだと思います。




当時の練習は、

ダブルホールでラインを出していき、

ループが乱れる直前の長さを保ちながら、(15~16mくらい?)

連続100往復キャストをする訓練を

何時間もぶっ通しでやったりしてましたから、それも毎日。



まあ、腱鞘炎にならない方がおかしいかと。



ですから、

ポルトガルで釣りをしている間中、

右腕は、カーっと熱を持って悲鳴を上げていました。




釣りをしていない時も同じで、

痛くてナイフとフォークを上手く使えません。




まあ、何と言うか、

キャスティングが上手くいかず悩んでいる人は、

とりあえず腱鞘炎になるまでロッドを振り続けてみてください、

と言いたいですね。





実際は、腱鞘炎には中々ならないですし、

なったとしても死ぬことはありませんから。

(但し、体力に自信のない人はこの限りではありません)





少なくとも、

人より上手くなりたいとか、

まして、仮に、

達人の域に行きたいという野望を抱いているのなら、

こんなことは当たり前の所作です。





何が言いたいかと言えば、

フライフィッシングは、キャスティングに極まれり、

であると言うことです。




もちろん、

タイイングや様々な釣り方の種類も魅力ですが、

毛鉤作りや釣り方は、

他の釣りでも十分経験出来るし、

自然観察や魚の生態や、瞑想的な心地良さも、

他の釣りで出来ることです。





フライキャスティングがあるからこそ、

フライフィッシングは他の釣りと一線を画すのです。





例えば、

ユーロニンフを得意とする釣り人は、

ともすれば、

フライキャスティングなんて極めなくても、

魚は釣れる、と、

キャスティングを疎かにする人も多いです。




もちろん、本人の自由ですが、

例えば、私のユーロニンフのスクールは、

フライキャスティングの重要性を分かった上で、

ユーロニンフキャストもこなすので、


その説得力が違うんですよね、これが。

視点が違うと言いますか。





では、

何故フライキャスティングは、

こんなに釣り人を魅了するのか?



不思議ですよね。

フライキャスティングの魅力の本質。

根源。




それは何なのか?



長くなったので、これは、

次回のメルマガで語りたいと思います。




こうご期待。










PS、

ところで、今の私は、

昔のようなキャスティングハードワークはしていません。


もう、そういう時期は過ぎたと言いますか、

釣りの持つ、他の側面の探求に大きく重心はシフトしています。


これがまた、魚を釣ることよりエキサイティングだったりするんですね。




例えば、

私のスクールで、「FF虎の穴 達人の先へ」

という講座があるのですが、


これなどは、今の私にとっては、

釣り以上の面白さと興奮を覚える刺激的なものなのです。




釣りの到達点は、「達人」になるのかと思いますが、

「達人の先の世界」というものがあると私は思っていまして。




FFという釣りを基軸に、達人の先の景色を掴んでいく。



そのことで、

世界は鮮やかに開かれていく。



こういう世界もあるんだよ、といった感じで。





先日、

勇気を持ってこの講座を受けてくれたFさん。

今はウンウン唸りながら、テキストと格闘しているか、

もしくは、すっかり過去の出来事として忘れ去られているかの、

どっちかだと思いますが、笑




何にしろ、

あのテキストを自分のものにし腑に落とし込めれば、

それは釣り人としても一人の人間としても、

最上位の高みに到達できる道が開かれるということですから、



時間はかかっても、

習得してもらいたいところですけどね。




ポイントは、

アウトプット(言語化)の継続です。





ではまた。











「イマージェントライズハンティング」

心地良さの極み

http://www.flyfishing-japan.com/shop/index.php?FF-JotatuClub


私の中では、もっともフライフィッシングの良さを体感できる釣りです。

イマージェント思考とは何なのか?あなたに伝授します。







「ユーロニンフレッスン」

ニンフォレプシーとの戯れ

http://www.flyfishing-japan.com/shop/index.php?enmastershool


ニンフというのは、美しき妖精という意味があります。

確かにその生態は神秘的で美しい。







フライフィッシング虎の穴「達人の先へ」

http://www.flyfishing-japan.com/shop/index.php?FF-JotatuClub

毛鉤釣りから、この世界の知られざる本質を暴いていく。













私に何か聞いてみたいことがありましたら、お気軽にご連絡ください。
http://www.flyfishing-japan.com/shop/index.php?contact


フライフィッシング私的大全(もっと遠く、もっと広く!)
「Complete Angler」
http://www.flyfishing-japan.com/shop






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