【フライフィッシング進化論】 バックナンバー一覧

戻る

タイトル :御巣鷹の尾根と毛鉤り釣り
配信日時 :2022/08/12(金) 06:00

本文:

『価値あるものと見なされるこの世の全ての楽しみと比べてみても魚とり
これに勝るものはなし』

『説教する人、物書く人、専制する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、
いずれにしても最後の勝利者これ魚とり』
By トーマス・ダーフィー 「釣り人の歌」
-----------------------------------------------------------


あの日も暑かった。


1985年8月12日夕方、日航123便が消息を断ち、

翌日、御巣鷹の尾根に墜落したと言う臨時ニュースがTVを席巻した。



御巣鷹といえば、

上野村のスゲノ沢を遡上しきった更に上に位置する場所である。


近辺で釣りをした方もいるかも知れない。



母校の高校の体育館は、

遺体を収容する場所になり、街は騒然となった。


重い病気から一時期立ち直った父は、

身体に爆弾を抱えながら上野村へ入った。


うだるような暑い日だった。

空の青と山の緑は、夏のしあわせそのものだった。

蝉が鳴いていた。



いまだ、事故の真相は謎に包まれ、

レコーダーの全開示を求め裁判は続いている。


その様相は、

ダムの水底のヘドロのようである。



上野村の川でも、

釣りのスクールをやって来た。

峠を越えて相木村や川上村に岩魚を釣りに行った。



彼らの魂が流れる川で、釣りをした。



釣り人は、

自然の中で1人おののき、

その威厳に圧倒され、

畏敬の念をそこに抱く。



自分の存在の無力さと儚さに絶望し、

また、潔く現実を知る。


ゼロ地点がそこにある。

虚無がそこにある。



けれど、

私は、それ以上に恐ろしいものを知っている。


上野村本谷を釣り上がっていくと、

突如として巨大なダムが立ちはだかる。


無機質な圧倒的意志。



その下で釣りをしていたことに、

心底、ゾッとした。


問答無用の支配下に置かれ、

自然の威厳とは、


「真逆の絶望」


と虚無感に襲われた。



釣りのささやかなしあわせが、

一瞬にして根こそぎ吹っ飛ばされた。



そのダムの数キロ上に、123便は落ちた。




釣りは、

悲しいものである。


朽ち果てたあらゆる生命の上に立ち、

魚を釣れるだけ釣り、自慢し、釣りは終わる。



自慢しなければ、釣りは終わらない。

そこに、釣りそのものの意味を考える意志は、

まったくない。



何と無思考な所作か。

だが、そういうものであろう。



そういうものではあるが、

それで全てが納得されるはずもない。



釣りは楽しいものである。

しかし、その楽しさと同量の悲しさがあることを忘れてはならない。


事実は街にはない。



悲しき熱帯。


楽しき夏休み。

悲しき夏。


楽しき釣り。

悲しき釣り。




釣りの中にある虚しさから、

目を背けてはならない。



何故なら、

そこにこそ、

本当の希望があるからだ。



その希望を掴んだ時、

釣り人は初めて、

釣りをする本来の意味を見い出すだろう。



釣りを超えた釣りを、

いつか掴みたいものだ。




ではまた。






フライフィッシングを超えたフライフィッシング。
http://www.flyfishing-japan.com/shop/index.php?FF-JotatuClub











私に何か聞いてみたいことがありましたら、お気軽にご連絡ください。
http://www.flyfishing-japan.com/shop/index.php?contact


フライフィッシング私的大全(もっと遠く、もっと広く!)
「Complete Angler」
http://www.flyfishing-japan.com/shop








■伝えたいこと

本当は・・
私たちはもっともっと本来の自分の求めているライフスタイルを実現するべきなんです。
そのことが、生きる意味だとも思います。

少しだけ今までより半歩前へ踏み出すだけで、
それは実現へと向うのは分かっているのに、何となくやらないでいるだけです。

フライフィッシングをライフスタイルの中に取り入れましょう。
沢山の喜びと癒しと学びを、得ることができるでしょう。

あなたの人生を、自身の手で心地よく作り上げていくには、
フライフィッシングというスタイルはとても素晴らしい選択の一つであることは、間違いありません。

そのことを、伝えていきたいのです。
フライフィッシングのクレド(理想、哲学)を表現していきたいのです。



【フライフィッシング イデア】

「芸術であり、スポーツであり、哲学であり、ハンティングであり、祈りである」





そして私は、釣りを釣りで終わらせたくありません。

これからの時代は、

「釣りを釣りで終わらせない」

思考能力が必要だと思っています。

何故なら、史上最高の激動の時代(カオスの時代)に我々は生きているからです。


資本主義は限界値を超えている
AI(人工知能の台頭)
情報の氾濫につぐ氾濫
近隣国の不穏な動向


釣りをする為にロッドはありますが、
世界観を押し広げる為の大切なツールでもあるのです。


視野の広さ、洞察力、直観力、主体的に考え抜く力。
これらを、釣りという楽しい遊びを通して身に付けていくべきです。
でないと、もったいなさすぎます。

だから、時には釣りと直接関係ない話や、
ちょっと挑発的な問い掛けもするかも知れません。

でも、そのことであなたがインスパイアーを受け、
何かに気付き、何かの行動の起爆剤になれるのなら、
私は、そのことが非常にうれしいのです。


我々の時間は限られています。
人の人生を生きるのではなく、
自分の人生を自分自身で掴む為にロッドを手に取るのです。




配信解除はこちらから。
http://tinyurl.com/ygakyt9