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タイトル :釣る前に勝負はついている。
配信日時 :2020/06/10(水) 06:00

本文:

『価値あるものと見なされるこの世の全ての楽しみと比べてみても魚とり
これに勝るものはなし』

『説教する人、物書く人、専制する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、
いずれにしても最後の勝利者これ魚とり』
By トーマス・ダーフィー 「釣り人の歌」
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大井しょうぶです。


オンラインという言葉が流行っているみたいなので、
メルマガ上(オンライン)でフライフィッシングスクールでもやってみます。


■オンラインフライフィッシングスクール


「さて、ここから釣りあがって行きましょうか」
「あ、はい」

生徒さんがキャストを始める。

「ちょっと待った~!」(もちろん、やさしい感じで)
「その立ち位置をまず考えなくてはなりません」
「他に有利なポジションはないですか?」

「え、どういうことですか?」

「だいたいの人が何となく立って、何となくキャストを始めますが、
そもそも、このポイントに対する観察が足りていません」

「はあ・・?」

「まず、魚がどこにいるかを想像し想定します」
「そして、その魚に対してベストな流し方をイメージして決めます」

「イメージですか・・」

「その上で、どこに立つのが一番有利なのかを的確に判断していきます」

「おそらく、多くの人は何となくその辺に立つのでしょうが、
私なら本気で釣る場合、あそこに立ちますね」

「おお~、あそこに立つんですか?」

「そうです、このポイントの場合、一番有利なポジションはあそこです」
「逆算して、どこに立つのが一番有利かを瞬時に見定めるんです」

「なるほど~、あそこに立つのは考えたことがなかったです」


スクールの初っ端によくある会話ですが、
要するに、「釣る前に勝負はついている」という一例です。


ポジションは、可能性としては360度内のどこにでもあります。
今の位置の真向かいとか、45度上流側へとか。
20度下流で1m川へ入ってとか。

対象(釣ろうとしている魚)に対して角度と距離を変えていけば、
立ち位置なんて数えきれなくあるでしょう。

20cm~30cm立ち位置が変わっただけで、
釣れるか釣れないかが決まる場合もあります。

対岸に渡れない川でも、
180度ぐらいの範囲内のどこに立ってもいいのです。


まず、
目の前のポイントを観察するという癖を付けてみるといいですね。
釣り始める前に。すぐ釣らないで。

どういう流れなのか?
流速は?
流れのヨレは?
流れが集まっている場所は?
水深は?
湧き上がってくる流れはある?
何か流れているか?いないか?
魚は見えるか?
底石の状態は?
ヤマメならどの場所を好む?
岩魚ならどの場所?

まだまだありますが、
こういう情報を素早く観察収集し、

どこにどういう角度でどの程度の強さで
毛鉤を落とすことがベストなのか?を考える訳です。

フライの重さも重要です。
ドライフライ
ウエット
ニンフ

毛鉤の形状や重さによっても、
「どこへどの角度でどの程度の強さで」
は変わってきます。

ドライフライだからと言って、
ふわっと落とせばいいというものでもない。

要するに、
今まで特に観察思考せずに釣り始めていたところを、
すぐに釣り始めず、ぐっと堪えて、

「どのポジションでどうキャストしてどこにフライを
どの角度で落として、どう流していくことがベストなのか」

を、じっと考えてみるのです。

つまり、
仮説を立て、それを検証する、
という作業を繰り返していくのです。

大事なのは、
この仮説が大雑把にしかできないと、
検証も大雑把で終わるしかありません。

だから、観察力を高め、
仮説を精度の高いものにしていく必要があるのです。

そして、その仮説を元に、
第1投に集中するのです。

最初は、時間が掛かるかも知れませんが、
これも慣れですね。

慣れてくれば、
経験値も加味されて、瞬時に的確に判断できるようになっていきます。

釣れる人は、
この一連の思考の流れを無意識に素早くやっているはずです。

リズミカルにテンポよくスピードを上げていくところと、
しばし観察し考えるという、緩急を自在に付けています。

釣れない人は、
何となく投げていればその内、何となく釣れるだろう、
ぐらいな感覚で釣り続けてしまうのです。

活性が高い時は、
これでも、それなりに釣れることもあるので、
余計に厄介なのですが、

活性が低い、そしてセレクティブになっている状況では、
「何となく釣法」では、まず釣れません。

その第1投のキャストを大切に集中してやることです。
この1投で釣り上げる、フックセットしてやるという意思が必要です。

「気合は入れるけど気配は消す」

という感覚で。
これ、すごく大事です。


ある日のスクールでは、
1本のロッドを生徒さん2人と私で交代交代で同じポイントを攻め、
どうにか私が釣り上げましたが、何が違ったかと言えば、

「ニンフを落とす角度とスピード」

が違ったのです。

この微差に気づくか気づかないか。
これは、観察し仮説を立て検証を繰り返していくことで、
身についていきます。


毛鉤の選択も同じような思考が大切だと思います。
いや、逆に毛鉤を選ぶときはあまり細分化しすぎない方が、
得てして、いい結果になることも多い気がします。

この辺の毛鉤選択については、
また次回に。


Tight Line!




Ps、

あれですよ、
なんか不自然だとか、腑に落ちないとか、
そういう直感を押さえ込まない方がいいですね。

今、みんな同じ方向を向かせられているじゃないですか。
かなりデータも出揃ってきて、
ちょっと違うんじゃないかと、誰もが思ってきている。

しかし、
同調圧力というのは強力で。

なぜ腑に落ちないのか?
の裏付けは取る必要は当然ありますが、

要するに、
時代の化けの皮が剥がれるのは時間の問題だと。

本当の知力って何なのかと。
人間こそウイルスなのかと。
その程度なのかと。

どれだけバイアスが掛かっているんだという話で。
どれだけ俯瞰できていないんだと。

いや、俯瞰という能力は本当に難しい。

ものを知っていることと、
思考力は、全く別物なんだと改めてそう思う訳です。
在り方と言ってもいいと思います。

同調圧力に負けそうになったら、
釣りにでも行ってゼロリセットする方が
後々、よっぽど役に立つのではないでしょうか・・ね。

「正義VS悪」

というような単純な構図こそ、危ない。
もっともっと事実は魑魅魍魎である訳で。


あと、
こういうカオスの状況では判断を間違えたり、
考えが間違えたりすることもままあります。
情報を読み違えたり。

その時、しなやかに軌道修正できるかどうかが何より大切だと思います。
意固地になって内容関係なく、初見、初考を通すことほど危ない。
しかし、これがなかなか難しいんです、ほんと。

何故、修正が出来ないかというと、
つまらないプライドに縛られているからです。
誇りではなく、くだらないプライドです。

単なる頑固オヤジになってしまっては、問題を解決に導けるはずもありません。
言い訳だけが上手くなっていく。

しなやかに変幻自在に活きたループを作っていけばいいんであって、
核となるブレてはいけない部分も時に移動すればいいんであって。

フライキャスティングに教わることは多いですね。






私に何か聞いてみたいことがありましたら、お気軽にご連絡ください。
http://www.flyfishing-japan.com/shop/index.php?contact


フライフィッシング私的大全(もっと遠く、もっと広く!)
「Complete Angler」
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■伝えたいこと

本当は・・
私たちはもっともっと本来の自分の求めているライフスタイルを実現するべきなんです。
そのことが、生きる意味だとも思います。

少しだけ今までより半歩前へ踏み出すだけで、
それは実現へと向うのは分かっているのに、何となくやらないでいるだけです。

フライフィッシングをライフスタイルの中に取り入れましょう。
沢山の喜びと癒しと学びを、得ることができるでしょう。

あなたの人生を、自身の手で心地よく作り上げていくには、
フライフィッシングというスタイルはとても素晴らしい選択の一つであることは、間違いありません。

そのことを、伝えていきたいのです。
フライフィッシングのイデア(理想、哲学)を表現していきたいのです。



【フライフィッシング イデア】

「芸術であり、スポーツであり、哲学であり、ハンティングであり、祈りである」





そして私は、釣りを釣りで終わらせたくありません。

これからの時代は、

「釣りを釣りで終わらせない」

思考能力が必要だと思っています。

何故なら、史上最高の激動の時代(カオスの時代)に我々は生きているからです。


資本主義は限界値を超えている
AI(人工知能の台頭)
情報の氾濫につぐ氾濫
近隣国の不穏な動向


釣りをする為にロッドはありますが、
世界観を押し広げる為の大切なツールでもあるのです。


視野の広さ、洞察力、直観力、主体的に考え抜く力。
これらを、釣りという楽しい遊びを通して身に付けていくべきです。
でないと、もったいなさすぎます。

だから、時には釣りと直接関係ない話や、
ちょっと挑発的な問い掛けもするかも知れません。

でも、そのことであなたがインスパイアーを受け、
何かに気付き、何かの行動の起爆剤になれるのなら、
私は、そのことが非常にうれしいのです。


我々の時間は限られています。
人の人生を生きるのではなく、
自分の人生を自分自身で掴む為にロッドを手に取るのです。




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