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タイトル :フライキャスティングは投げてはいけない。
配信日時 :2020/05/28(木) 06:00

本文:

『価値あるものと見なされるこの世の全ての楽しみと比べてみても魚とり
これに勝るものはなし』

『説教する人、物書く人、専制する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、
いずれにしても最後の勝利者これ魚とり』
By トーマス・ダーフィー 「釣り人の歌」
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大井しょうぶです。


前回の続きを。



■フライキャスティングは投げるのではない、抜くのだ。


さて、
フライキャスティグで、多くの方が感じている感覚というのが、

「投げる」

という感覚です。

ブウォ~ンとロッドを振り投げる感覚。

厳密に言えば、
この感覚も間違いではないと思います。

ですが、
一番に掴んでもらいたい感覚は、
投げるのではなく、

「抜く」

という感覚です。

ロッドが負荷で曲がります。

曲がったことで、そこに復元しようとしるエネルギーが
強力に溜まります。

ロッドは、元の形に戻ろうと必死です。

「そのエネルギーをロッドの先端から抜いてやる」

この感覚が、
フライキャスティングにはかなり重要です。

ただ単に、
投げるという意識だけだと、
その過程で、あちこちに余分な力が掛ってしまいます。

ただ、

「抜いてやればいい」

のです。

バックキャストでロッドは曲がり、
復元エネルギーが溜まります。

そのエネルギーをフォワードキャストで
ロッドティップから綺麗に抜いてやる、

ということです。

つまり、いわゆる投げる力は入りません。

フォルスキャストもそうですが、
特に、シュートの時はそうですね。

放出させてやるんです。

フライキャスティングにおいて、
主役はあくまでフライロッドであり、

我々ではないのです。


我々キャスターは、
ロッドの復元力エネルギーが、パワーロスすることなく、
最大限効果的に出現するのを手伝っているだけなのです。

実は脇役なんです、フィッシャーマンは。
人間は。


で、
その手伝い方の最も有効なことが、
ロッドティップから復元力エネルギーを

「抜いてやる」

という動作というか、感覚になる訳です。


効果的に抜いてやる為に、

ストレートな移動だったり、
スラックを作らないストップだったり、
ちょっと上へ突き上げたり、

小技を色々使うんですよね。



野球なんかを見ていても、
実は、野球も投げているのではなく、
溜まったエネルギーを抜いている、

ということが分かります。

球が放出される直前まで、
体全体に溜まったエネルギーを、
指先から球を通して放出させているんだということです。

一見、
力で投げているように見えますが、
実はそうではなく、体全体のしなりを使って、
そのエネルギーを指先から抜いているんだと思います。


つまり、要するに、

フライキャスティングも、投げるのではなく、
抜くという言い方が一番適切ではないかと。

ロッドに蓄えられたエネルギーをパワーロスなくスムーズに抜く。
投げるのではなく、エネルギーを抜く。

この感覚を体得すれば、かなり素晴らしいキャストが出来るはずです。

特に、
シュートの時はこのイメージが大切ですね。

ロッドの先端から、
蓄えられたエネルギーが勢いよく空へ抜けていく。
勢いよく放出される。

こんなイメージです。

ロッドを持つ力は、
そのエネルギーがスムーズに放出されるように、
その補佐としての役割を果たす。

ロッドを投げるのではない。
ロッドの先端からエネルギーが力強く放出される、
その補佐をするだけである。

その為に、
前回のタコキャスティングが重要になってくるんです。

余分な力はできるだけ排除する。
そして、ロッドの復元力が最大限機能するように
ロッドを移動させる。

こんな感じでしょうか。

これだけで、今までとは違うキャストが出来るはずです。


どんなスポーツでも、
よく観察すると同じような理屈が成り立っています。

ただ、力だけで成り立つスポーツはほぼないと言っていいと思います。

必ず、エネルギーを溜める動作があり、
そのエネルギーを放出させる動作があります。

歩く、という単純な動作の中にも、
エネルギーを貯めて、放出させることの繰り返しで、
前へ進んでいることがわかります。

その時、体幹がぶれずにエネルギー伝達に無駄がなければ、
綺麗で力強いウォーキングになるはずです。

もしかしたら、
歩くのが上手い人はキャスティングも上手いかもしれませんね。

歩くのが綺麗な人は、
体の基本的な使い方がいい訳ですし、無駄な力も入っていない。

フライキャスティングの最も基本的な練習は、
実は、ウォーキングにあったりするかも知れません。(笑)

もしくは、ジョギングとか。


ということで、
話が広がりすぎてまとまりが付かなくなる前に、
今号はこの辺で。


また次回。


Tight Line !







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■伝えたいこと

本当は・・
私たちはもっともっと本来の自分の求めているライフスタイルを実現するべきなんです。
そのことが、生きる意味だとも思います。

少しだけ今までより半歩前へ踏み出すだけで、
それは実現へと向うのは分かっているのに、何となくやらないでいるだけです。

フライフィッシングをライフスタイルの中に取り入れましょう。
沢山の喜びと癒しと学びを、得ることができるでしょう。

あなたの人生を、自身の手で心地よく作り上げていくには、
フライフィッシングというスタイルはとても素晴らしい選択の一つであることは、間違いありません。

そのことを、伝えていきたいのです。
フライフィッシングのイデア(理想、哲学)を表現していきたいのです。



【フライフィッシング イデア】

「芸術であり、スポーツであり、哲学であり、ハンティングであり、祈りである」





そして私は、釣りを釣りで終わらせたくありません。

これからの時代は、

「釣りを釣りで終わらせない」

思考能力が必要だと思っています。

何故なら、史上最高の激動の時代(カオスの時代)に我々は生きているからです。


資本主義は限界値を超えている
AI(人工知能の台頭)
情報の氾濫につぐ氾濫
近隣国の不穏な動向


釣りをする為にロッドはありますが、
世界観を押し広げる為の大切なツールでもあるのです。


視野の広さ、洞察力、直観力、主体的に考え抜く力。
これらを、釣りという楽しい遊びを通して身に付けていくべきです。
でないと、もったいなさすぎます。

だから、時には釣りと直接関係ない話や、
ちょっと挑発的な問い掛けもするかも知れません。

でも、そのことであなたがインスパイアーを受け、
何かに気付き、何かの行動の起爆剤になれるのなら、
私は、そのことが非常にうれしいのです。


我々の時間は限られています。
人の人生を生きるのではなく、
自分の人生を自分自身で掴む為にロッドを手に取るのです。




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