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タイトル :ウエットフライVSニンフィングその先の先
配信日時 :2018/12/29(土) 06:30

本文:

『価値あるものと見なされるこの世の全ての楽しみと比べてみても魚とり
これに勝るものはなし』

『説教する人、物書く人、宣誓する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、
いずれにしても最後の勝利者これ魚とり』
By トーマス・ダーフィー 「釣り人の歌」
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【ウエットフライVSニンフィングその先の先】



大井しょうぶです。




多くのフライフィッシャーマンは、

多かれ少なかれ、ウエットフライに何か魔力を感じていると思う。

ウエットで釣れたらカッコいい。

フライがいかしているし、洗練されている。


ニンフで釣れても、まあまあそこそこ。


こんな感覚を持っているだろう。



それは、歴史からそう汲み取るのかも知れないし、

フライの形状やカラーリングの煌びやかさから、そう連想させられるのも無理はないと思う。



何者にも似せていないファンシーなフライ。

想像の世界のフライ。


こんな魅惑的な紹介が日本でもされてきた。



ドライフライは、答えの出ている簡単な釣り方。

虫に似せればいい。

ニンフも然り。


しかし、ウエットは想像上の世界。

格が違う、とでも言うような。


パッと表面上を観察すれば、そんな世界が広がるかも知れない。




だが、

私は、そこには絶妙なレトリックが潜んでいると考える。

計算された戦略的ポジショニングとでも言うような。


長い歴史の中で、

想像が想像を超え、一人歩きでもするような。

世界覇権の歴史と共に。




結論から言いたい。


「ウエットフライは小魚をイミテーションしている」


これが、私の結論である。



ヤマメの稚魚。

オイカワ。

ウグイ。

アユの稚魚。

マルタ。


これらの魚の共通点と言えば、

その体表に描かれる


「煌びやかな色彩を伴った模様」


にある。


ウグイのあの体表模様の複雑な色彩は、

簡単に再現できるようなものではない。


だが、

それを何とか再現しようとしているのが、ウエットフライの原型思考だと思う。


想像は、現実を超えられない。

どんなシュールな芸術作品にも、その原型が世界のどこかに存在する。


人間の能力は、

その原型をどれだけ勝手に解釈し、似て非なるものに昇華できるか、である。


その意味で、

全ての毛鉤制作における人間の想像力なんてたかが知れている。


完全に外れることはできない。

アウトした表現はできない。



故に、

ウエットフライは、小魚のイミテーションという構造の外に出ることはできない。


つまり、

もし仮に、完全に想像上のフライを制作できたとして、

本当にそれがアウトスタンディングなものであったなら、

人は、それを認識できない。

人はそれを、毛鉤として認識できない。



逆を言えば、

それを認識できたとすれば、

それは完全に想像上のものではなく、世界のどこかにその原型はあるということである。



小さいウエットフライは?

水生昆虫を模している。

それだけのことである。



ヨーロピアンニンフは、既存のニンフとは違う側面を持つ。


それは、

ウエットフライのカラーリングを取り入れたと言ってもいいかも知れない。


ホットスポットという考え方は、

現実の水生昆虫の幼虫をかなりデフォルメすることに成功している。



しかしまた、ニンフが羽化途中のある瞬間、

身体にまとう浮上する為の空気膜と、太陽光の反射によって現れる表現できないきらめき。


それは、何という色なのか?

人間の持つ言葉の中にはない。


それを、デフォルメして表現しようとしているのがユーロニンフの戦術であり手法である。




結論として私が言いたいことは。


ウエットとか、ニンフとか、ドライとか。

そういう言葉で縛られているようでは、そこまで止まり。


世界は言葉に支配されている。

フライフィッシングも然り。



次の進化をフライフィッシングは待ちわびている。




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