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タイトル :第3話「何で釣具屋にうさぎの顔があるの?」
配信日時 :2016/11/13(日) 07:00

本文:

『価値あるものと見なされるこの世の全ての楽しみと比べてみても魚とり
これに勝るものはなし』

『説教する人、物書く人、宣誓する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、
いずれにしても最後の勝利者これ魚とり』
By トーマス・ダーフィー 「釣り人の歌」
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しょうぶです。

今号は、フライフィッシング事始め第3話です。




第3話


「何で釣具屋にうさぎの顔があるの?」



■釣りは面白いけどたまにのイベント。


何十年かぶりで行った釣りで、
バスを第一投で釣り、


ヘラ釣りで、巨鯉を掛け、
ぶっちぎりの独走状態が続いていた私であった。


人間、こうなると調子づく精神構造になっているようで、
私も、内心、


「やっぱり、俺は違うな・・へへ・・」


と、釣り天狗の鼻がみるみる伸びていった。



だいたい、

釣り人というのは、誰もが一夜にして「達人」、
はたまた「釣り神」に出世してしまう性格を持っているようで、

私も、御多分に漏れずであった。



そんなこんなで、
たま~にのイベントで釣りをしていた訳で、
釣りの面白さは何となく分かったけど、それでも、


「まあ、年に何回かの仲間とのイベントだよね」


という、域を脱することはなかった。


「面白いけど、音楽ほどのめり込むものでもないな」


というレベルのものだった。





しかし、

だが、しかしである。
その感覚が、一変してしまう出来事が身を襲ったのであった。



それは、とある初秋の日、

海のルアーを買う友人達に付き合って、
確か・・葛飾区か?どっかの環七沿いの釣り具量販店に行った時のことである。


今までにない奇妙な感覚を覚え、
今までにない、未知との遭遇に、


元来、私が持っている


「好奇心」


に、ボワッと火が音を立てて点火してしまったのである。





■何でウサギの顔があるの?


釣り具量販店の店内を、
何を見るでもなく、ゆっくり歩き回りながら、

「腹減ったから、皆で早くラーメンでも食いに行きたいな~」

と、ぼんやり考えていた。


そのコーナーは店内の奥の一角にあり、
スペースとしては他の釣り道具に比べて、小さなものだった。


釣り竿が並べられた棚の奥に、
壁一面に何かがたくさんぶら下がっていて、

何なのか?よく分からなかったが、
動物の体毛らしきものだとは分かった。


次の瞬間、目が釘付けになった。


「ウサギの顔?」

「ぎょえぇ・・!」

「ウサギの顔がある・・。目のところがくり抜いてある・・」

「何なんだ?剥製屋でもないのに」

「気持ち悪いな・・」



周りを見渡すと、ウサギの他にも、

鳥の顔がそのまま残った羽や、
色とりどりのごわごわした動物の体毛らしき物が並んでいた。


「何なんだ?ここは釣具屋だろ?」

「これを、釣りに使うっていうのか?」


ちょっとした、カルチャーショックを覚えた。



そして、その中でも一番に惹きつけられたのは、


幾何学模様のような、
万華鏡を覗き込んだ時の目が眩む模様を連想させる、

羽根だった。



「Peacock」



と書かれていたその煌びやかでギラついた羽根は、
他のどの羽よりも、魅惑的であり私を釘付けにした。


中心から円を描くようにその模様は広がり、宇宙を連想させた。
何という色か説明が出来ない、とても複雑な色彩を放っていた。


「すげ~」


「これを釣りに使うのか!?」



ウサギの顔に、Peacock。動物の体毛。鳥の羽。


隣のウインドケースには、鉄の小型万力。
色んな色の糸。

何に使うのか見当も付かない様々な小物類。


私の好奇心のレベルゲージは、満タン、フル状態になり、
興奮していた。




ルアー釣りをしている仲間は、
これらを使った釣り方を知っていて、
私にこう話した。


「フライフィッシングっていう釣りだよ。

毛鉤を自分で作って、長い糸を前後に振って飛ばして釣るんだ。

難しいから、やらないけどね。」



「なるほど。

フライフィッシングっていうんだ。

あ~、そういえば、TVでなんかやってたな。

カナダかどっかの川で、忙しく手を動かしながら釣りをしていたな。

不思議な運動だな~、と思ったっけ」



そうか、毛鉤を飛ばすために、ああいう投げ方をしてるのか!?

それにしても、何であんなに忙しく腕を動かさなければいけないんだろう?

でも、気持ちよさそうだったな・・。

すごぶる楽しそうだったな・・。


・・・。





■衝動買い。



私は、その時、
この釣りをしようと決めてしまった。


セットの道具を穴が開くほど見つめ、


「今、買っちゃおうかな?

次まで、我慢するか?

いや、もう待てない・・。」



「今、買うの!?」


驚く仲間を横目に、
レジに向かったのであった。



チ~ン。
お買い上げありがとうございます。


そして店員に、矢継ぎ早に、


「最初はどうすればいいのか?」


質問攻めをしていた。




そのくらいに、
この不思議な釣りの世界観に一瞬にして惹きつけられていったのです。



いや、今になって思えば、この釣りをすることが、


「決まっていた」


といった感覚すらありますね。





その後、堰を切ったようにはまっていくんですが、
最初は釣りにならなかったんです。



何故、釣りにならなかったのか?


そうです。
飛ばないのです。毛鉤が。

目の前に力なく落ちるだけなのです。



それは、何から何まで、
私が持っていた釣りというイメージを覆す体験の連続でした。



そしてそれは、私の釣り天狗の鼻が
見事にへし折られた瞬間でもあったのです。





つづく。


Tight Line!





次回は、


「毛鉤を飛ばす独特の投げ方に挫折」

の巻きです。


お楽しみに。






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■伝えたいこと

本当は・・
私たちはもっともっと本来の自分の求めているライフスタイルを実現するべきなんです。
そのことが、生きる意味だとも思います。

少しだけ今までより半歩前へ踏み出すだけで、
それは実現へと向うのは分かっているのに、何となくやらないでいるだけです。

フライフィッシングをライフスタイルの中に取り入れましょう。
沢山の喜びと癒しと学びを、得ることができるでしょう。

あなたの人生を、自身の手で心地よく作り上げていくには、
フライフィッシングというスタイルはとても素晴らしい選択の一つであることは、間違いありません。

そのことを、伝えていきたいのです。
フライフィッシングのイデア(理想、哲学)を表現していきたいのです。



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