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タイトル :フライフィッシングと脳内物質
配信日時 :2010/04/25(日) 00:50

本文:

『価値あるものと見なされるこの世の全ての楽しみと比べてみても魚とり
これに勝るものはなし』

『説教する人、物書く人、専制する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、
いずれにしても最後の勝利者これ魚とり』
By トーマス・ダーフィー 「釣り人の歌」
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「フライフィッシングは何が何でも行かなければいけない」その理由。



■フライフィッシングと脳内物質

1、ベータエンドルフィン

ベータエンドルフィンという物質があります。
この物質は何なのかと言うと、

「脳内に分泌される麻薬性物質」です。

よく、
ランニングハイとか言いますよね。

体が「快」になり爽快感に満たされている状態なんですが、
この時に脳内に分泌される物質を、ベータエンドルフィンと言います。


ベータエンドルフィンは様々な研究結果から、
脳を活性化し、やる気をつくり、思考力や免疫力を高めてくれるという事が分かっています。

いい事ずくめですね。

つまり、ベータエンドルフィンが多く分泌される人生の方が
幸せなのです。成功なのです。


2、セロトニン

セロトニンは安らぎ、心の安定を与えてくれるホルモンです。

昨今、うつ病や切れやすい若者、自殺願望者が増えていますが、
この事は、セロトニン不足が大きな原因の一つだという事が分かっています。
セロトニンが不足すると、感情にブレーキが効かなくなる状態になってしまうそうです。


セロトニンを増やす方法としては、
規則正しい生活や日光を浴びること、食生活の改善など、
色々あるようですが、私が注目したのは、

「リズム運動によりセロトニン物質が増える」

という事実です。
リズム運動には、ウォーキングや呼吸法が挙げられますが、


実は、そうです!実は、


「フライキャスティング」


は、最たるリズム運動と考えて宜しいのではないでしょうか。

す・・すごい。すばらしい事実をまた発見してしまいました。



■具体的にフライフィッシングに置き換えると。


いつものように、川岸に立ち釣りを始めます。
この時点で、もうそこそこのベータエンドルフィンが分泌されていると思います。

きれいな川のエメラルド色の水面が視野に入っているだけで、脳は活性化されているはずです。

よく見ていると対岸の岸近くで、魚がライズします。
それを発見した時、ブワッとエンドルフィンが脳内に分泌されます。

魚のライズ、ただそれだけで幸福感が雪崩のように押し寄せます。
そそくさと準備をし、フライボックスから必殺のフライを糸に結びます。

希望の感情しかありません。


そして、
バコッと魚がフライを咥えた瞬間、
ベータエンドルフィンは吹き出る勢いで体を駆け巡ります。

この瞬間は、もう言うまでもありません。

タマリマセン!



■キャスティングハイ

メルクリーガーがキャスティング教則ビデオの中で、

「誰もいない川の中でキャスティングを繰り返した。
美しいループが伸び、音もなく水面に着水する。完璧なキャスティングを何度も繰り返した。
私は、この幸福なひと時を魚に邪魔されたくなかった」

なんて言っていた記憶があります。


私は、まだ初心者の頃にこのビデオを見て、

「そんな馬鹿な!?魚を釣りに行っているのに、魚が邪魔だなんて!」

と思ったのです。
このおじさん大丈夫かな?なんてぼやいた訳ですが、
この時のメルクリーガーは、ベータエンドルフィン出まくりだったんだと思います。

完全なるキャスティングハイですね。


そして同時にセロトニンも充分に分泌され、
完全なる心の安定と平和がメルを支配したのだと思うのです。



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音に敏感でなければならない。
臭いを嗅ぎ分けねばならない。
色彩に敏感でなければならない。
気配を感じなければならない。
予測しなければいけない。
体力がなければならない。
六感を研ぎ澄まさなければならない。
知的でなければならない。
情報収集能力を持たなければならない。
分析力を高めなくてはいけない。
手先の感覚を研ぎ澄まさなければならない。
瞬発力がなければならない。
闘争心を蘇らせねばならない。
孤独を楽しまなければならない。


これらを、全て同時に実践出来ることは、
フライフィッシャーマンの特権である。
釣り人の特権である。


逆を言えば、釣りに行けば行くほど、
これらの能力を高められる機会を多く作っているという事になります。

大事なのでもう一度言います。

「釣りに行けば行くほど、人間の能力、人間力を高められるのです」


あなたの友人にこの事実を伝えましょう。
あなたの子供にこの楽しき学習を教えましょう。
一生涯の財産になる事を隠さずに伝えましょう。
そして、偏差値だけでカタをつける学校には、見切りをつけましょう。
売り上げだけが至上命令の会社は、こちらからお断りしましょう。


この事を継承していく事が、我々の使命。ミッション。


■大義名分

釣り人は、いつも大義名分を探す。
正々堂々と、釣りに行く為に。
なんとなく後ろ髪を引かれながら行く、あの少しいやな感じを取り払いたいが為に。

家族に、友人に、会社に、社会に釣りの大儀を話したい。
でも、うまく説明がつかない。


大の大人こそ、
真顔で学習しなければいけない。

フライフィッシングは、その学校なのである。





---追伸-----


競技や競争は人々を熱狂させる。
6月は、ワールドカップもある。
サッカーをかじった私は、今からテンションが上がりつつある。

実はフライフィッシングにもチャンピオンシップという大会がある。
毎年、ヨーロッパなどで開催される。今年は、6月のポーランド。
22~23ヶ国、120人~130人の世界中の釣りバカが集まり競い合う。


その大会に参戦しようと思う。
2週間強の遠征だ。
2006年のポルトガル大会に続いて2回目のエントリーだ。


フライフィッシングで競技!?
メンタルブロックが掛かってしまう人も多いだろう。
らしからぬ世界観があるかも知れない。
そこには、熱狂と矛盾と希望と道楽が渦巻いている。


簡単に言うと、
フライフィッシングの世界競技=「俺が一番釣れるんじゃー!」

の世界。
いたって、シンプル。


ただ、釣り方の方法論が多すぎるぐらい多いのが、フライフィッシング。
全てOKだと、途方に暮れてしまう。

なので、この大会はシングルハンドのみ。


私としては、大いなる道楽。大いなる洒落。
しかし、狙えるもんなら、狙ってやる。
と、密かに皆、男なら思うはず。


このメールで、実況中継もして行きますので、乞うご期待!

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ちなみに、今年の開催国のポーランドはどういう国かと言うと、

有名どころでは、

ショパン
キューリー婦人
ヨハネパウロ2世(第264代ローマ教皇)

などが挙げられます。


ショパン自身が、「こんなに美しい曲は書いたことが無い」
と言ったほど、世界一美しい曲。


別れの曲
http://www.youtube.com/watch?v=0gM4dWVc0fM


題名は「別れの曲」ですが、
強い希望の意志を感じるのは、私だけでしょうか。




■編集後記


1、先日、キャスティングの講習会を行いました。
第一線のトーナメンターの方と一緒に。

少人数でしたが、有意義な一時でした。

私は現在、FFFのインストラクターではありますが、
やはり、マスターインストラクターに受かりたいですね。

今後、キャスティングワークショップも開催したいと思っていますので、
よろしくどうぞ!

HPやこのメールでアナウンスして行きます。



2、「狭い世界」


この激動の時代に、
フライフィッシングという一つの狭い世界へ惹きつけられた人々。

お互いを友と思わずして、誰を友とする。

その変てこなスタイルは、微笑ましいではないか。

誤解やすれ違いは、世の付き物。

批判より、協調が心地いい。





では、今号はこの辺で。

最後までお付き合い頂き感謝します。

なかなか暖かくならないですが、
どうぞ、より良きフィッシングを!




フライフィッシング私的大全(もっと遠く、もっと広く!)
http://www.flyfishing-japan.com/
mail: shobu@qf.main.jp

ご意見、ご感想お待ちしております!